運動を始めようと思った時、「有酸素運動と無酸素運動の違いは?」「有酸素運動と無酸素運動、どちらをやればいいの?」と迷ったことはありませんか?この疑問は多くの人が抱える悩みです。
実は、運動の順番や組み合わせ方は、運動する人の目的によって異なります。この記事では、有酸素運動と無酸素運動の基本的な違いから、目的に応じた最適な取り組み方までを、分かりやすく解説します。
Part 1. 有酸素運動と無酸素運動とは何か?
有酸素運動とは、酸素が十分に供給される中〜低強度で長時間、リズミカルに行う運動です。主に体内の糖質や脂肪、タンパク質を酸化分解してエネルギーを生み出し、代謝産物として水と二酸化炭素が発生します。
代表的な運動には、ジョギング、水泳、サイクリング、ウォーキング、エアロビクス、登山、スキー、ダンスなどがあります。
無酸素運動は、高強度・短時間で行う運動で、酸素供給がエネルギー需要に追いつかない状態で行われます。主に体内に蓄えられたグリコーゲンを無酸素的に分解してエネルギーを得るため、代謝産物として乳酸が生成され、これが筋肉痛の原因となることもあります。
代表的な運動には、スプリント、ウエイトリフティング、走り高跳び、筋力トレーニング、HIIT(高強度インターバルトレーニング)、投てき、走り幅跳び、ジムでのマシントレーニング、バスケットボール、スクワット、デッドリフトなどがあります。
Part 2. 有酸素運動と無酸素運動の違いは?
有酸素運動と無酸素運動の主な違いは、エネルギー供給の仕組み、運動強度、運動時間などに表れます。自分がどちらの運動をしているか判断するには、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。
比較項目 | 有酸素運動 | 無酸素運動 |
---|---|---|
エネルギー供給 | 酸素を使い、糖・脂肪・タンパク質を分解してエネルギーを供給 | 酸素が不足した状態で、体内のグリコーゲンを分解してエネルギーを供給 |
運動強度 | 低〜中強度(例:ジョギング、速歩など) | 高強度(例:スプリント、ウェイトリフティング、HIITなど) |
継続時間 | 長時間(通常20分以上、最長で数時間) | 短時間(数秒〜数分、長時間の継続は困難) |
代謝産物 | 水と二酸化炭素(目立った疲労感は少ない) | 乳酸(筋肉痛の原因になることがある) |
心拍数の範囲 | 最大心拍数の約60〜80%(最大心拍数=220−年齢) | 最大心拍数の80%以上(100%近くになることも) |
主な効果 | 心肺機能の向上、脂肪燃焼、持久力アップ | 筋力・筋量の増加、瞬発力・パワーの強化 |
2.1 有酸素運動か無酸素運動かを判断する方法
> 運動の強度と継続時間をチェックする
- 20分以上楽に続けられ、運動中に会話ができる場合:有酸素運動(ジョギング、水泳、サイクリングなど)が中心です。
- 全力で取り組む必要があり、数秒〜数分しか続けられず、途中で休憩が必要な場合:無酸素運動の要素が強いです(スプリント、重いウェイトリフティングなど)。
> 心拍数を測る
- 運動時の最大心拍数(220−年齢)を計算し、最大心拍数の60〜80%の範囲であれば有酸素運動が優位(例:30歳なら最大190、心拍数114〜152で有酸素運動)。
- 80%以上(例:30歳で152拍/分以上)は無酸素運動が優位です。
> 運動の種類を見る
- 有酸素運動の代表例:ジョギング、速歩、水泳、サイクリング、エアロビクス、階段昇降(一定ペース)など。
- 無酸素運動の代表例:スプリント、ウェイトリフティング、HIIT、ジムでの器具トレーニング(スクワット、懸垂など)、バスケットボールやサッカーでのダッシュなど。
> 主観的な感覚で判断する
- 有酸素運動:運動後は軽く汗をかき、呼吸はやや早くなる程度。翌日に強い筋肉痛は残りません。
- 無酸素運動:運動後は大量の汗と息切れを感じ、翌日に筋肉痛(乳酸の蓄積)が起こりやすいです。
実際の運動では、有酸素エネルギーと無酸素エネルギーが単独で働くことはほとんどなく、複数のエネルギーシステムが同時に働き、どちらかが主となる場合が多いです。
Part 3. 【目的別】有酸素運動と無酸素運動はどっちが先?
3.1 自分の目的を確認
無酸素運動か有酸素運動かを選ぶ前に、まず自分の目標を明確にすることが大切です。
- ダイエット・脂肪燃焼:体重の減少や体脂肪率の改善
- 筋力トレーニング:筋肉量の増加や筋力の向上
- 健康維持・持久力向上:全体的な体力の向上や生活習慣病の予防
このように、目的によって最適な運動の組み合わせや順序は異なります。
3.2 ダイエット・脂肪燃焼の場合
推奨順序:無酸素運動 → 有酸素運動
ダイエットが目的の場合、無酸素運動を先に行うことをおすすめします。筋トレによって成長ホルモンの分泌が促進され脂肪分解が進むことで、筋トレ後に有酸素運動を行うと既に分解された脂肪酸が効率よく燃焼され、さらに筋トレ後は代謝が高い状態(アフターバーン効果)が続くため、運動後も脂肪燃焼が持続します。
具体的な例:
筋トレ:20-30分(大きな筋群を中心に)
有酸素運動:20-40分(中強度)
3.3 筋力トレーニングの場合
推奨順序:無酸素運動のみ、または無酸素運動 → 軽い有酸素運動
筋力・筋量アップが主目的の場合は、無酸素運動に集中することが重要です。
最大のパフォーマンスを発揮し、筋肥大効果を最大化し、怪我のリスクを軽減するためには、疲労していない状態で高重量を扱い、十分な強度で筋肉に刺激を与え、集中力が高い状態で正しいフォームを維持することが重要です。
注意点として、有酸素運動を行う場合は10〜15分程度の軽い運動にとどめ、筋トレ前の長時間の有酸素運動は避けましょう。
3.4 健康維持・持久力向上の場合
推奨順序:有酸素運動 → 無酸素運動、または日を分ける
全般的な健康維持や持久力向上が目的の場合は、柔軟なアプローチが可能です。
アプローチ方法としては、同じ日に有酸素運動(30〜45分)を行った後に軽い筋トレ(15〜20分)を組み合わせる方法や、有酸素運動の日と筋トレの日を交互に設定する方法、さらに週単位で週3回有酸素運動・週2回筋トレといった計画を立てる方法があります。
これらの方法には、心肺機能と筋力の両方をバランスよく向上させられることや、生活習慣病の予防、長期的な健康維持といったメリットがあります。
Part 4. よくあるご質問
質問1. 1回の運動時間や頻度はどれくらいが目安ですか?
初心者の場合:
- 有酸素運動:週3-4回、1回20-30分
- 無酸素運動:週2-3回、1回20-30分
中級者以上の場合:
- 有酸素運動:週4-5回、1回30-60分
- 無酸素運動:週3-4回、1回45-60分
質問2. 両方の運動を同じ日にやってもいいですか?
はい、問題ありません。ただし、総運動時間は60〜90分以内に収めること、水分補給をこまめに行うこと、疲労が蓄積した場合は無理をしないこと、そして初心者は週2〜3回から始めることに注意してください。
効果的な組み合わせ例としては、筋トレ(30分)+有酸素運動(30分)、またはHIIT(15分)+軽い有酸素運動(20分)などがあります。
質問3. 有酸素運動だけでもダイエット効果はありますか?
はい、効果はあります。しかし、より効率的にダイエットを進めたい場合は筋トレとの組み合わせがおすすめです。
> まとめ
本記事では、有酸素運動と無酸素運動の違いや順序について解説しました。どちらを先に行うかは、運動する人の目的によって異なります。大切なのは継続することです。運動前後のウォームアップとクールダウンも忘れず、安全で効果的な運動習慣を身につけましょう。